掲載した栃木県の産石の中には、今まで殆ど知られていない産地が含まれています。 特に気づくのは北〜北東部にかけての地域です。この地域は地質的にもたいへん複雑に入り組んだ場所で、福島県南部より茨城県北部をとおり栃木県北部にかけて阿武隈変成岩帯が入り込み、そして三波川広域変成帯の一部が部分的に存在する地域です。

産地図の@ABCDは茨城県の主産石(八溝石)の産地、八溝山の裏側に位置します。
茶、黒の片岩系に石灰岩の貫入した、水石に適した水持ちの良い八溝石に比較して、栃木県側の石は全く異なり、梨地肌、カニ真黒で瀬田川の石に良く似ており、見分けの困難なものも中にはあります。産地を辿ると八溝山の裏側のかなり八溝石の産地の近くまで入り込みますが、これも自然の成せる面白さでしょう。@〜Cは殆ど同系統の石ですが河川により大分質が異なります。わずかな距離でも変成の度合いが違うタメとおもわれます。一部は極めて硬質です。

EFも全く同じ系統の色石を産しますが微妙な違いがあります。細かいことは省きますが決定的に違うのは、Fにはじゃくれ真黒石を産することです。またこの川では研磨を要しますが花紋石も幾種か出ます。

Gについても殆ど一部の人のみ知る場所です。名前のとおり平家の落人部落で知られる湯西川温泉の近くです。ここの特徴は硬質なのは勿論ですが其の肌は佐治川石にそっくりな種類が見られることです。鉄分が多く薄く錆ののった肌はなかなかいいものです。

Hは昔から知られているクジャク石の産地です。今では殆ど産出しませんが、寸石ていどなら拾えます。磨かないで見られる物もあります。

Iは鬼怒川温泉より流れてくる川です。この川は探石範囲が広く今市市〜真岡市の下流、二宮町まで探石できます。そのためにポイントが掴みづらいのが欠点です。石種は青黒、赤石、硬質砂岩、などですが時々素晴らしい素材に出会うことがあります。 その他は良く知られていますので省略します。

 

JMについての説明

渡良瀬水系の探石ポイント

渡良瀬水系は源流を国立公園、日光の中禅寺湖裏山に発し、かつての銅山町足尾より渡良瀬川となり群馬、栃木県よりの各支流を集めて東流し、最後には茨城県の古河市付近にて利根川に合流し千葉県の銚子にて太平洋に注ぐ、鬼怒川水系と並び、利根川の代表的支流です。

探石ポイントとしての渡良瀬川について述べると、先ず最初に最上流の足尾町が良く知られた桜石の産地、花の最も良いのが足尾町下流約6キロの餅ガ瀬渓谷、ブームにて岩盤を割って採取した時期もあった。

下って赤城山の東側、黒保根村の小黒川、入り口は水沼、花輪駅の中ほどの河川、黒石ではなく京都の紫貴船と殆ど同じ系統のものが本命となる。流れの中ではなくかなり上流の沢にはまだ見られる。

次が渡良瀬川本流の探石となる、小黒川の入り口を少し過ぎると上神梅の近く、この辺の下流もポイント、近くに此れも偶然かどうか貴船神社がある、以前は川摺れの紫貴船そっくりのものが揚がった。

更に下って桐生市内、桐生大橋の左岸、入り口が少々解り難いが、西側より橋を渡りすぐに右に入る細い道を行けば大きな広場と駐車場所がある。さらに下り葉鹿橋と松原橋の中間、此処は桐生川の合流地点が近い。以前は足利競馬場付近まで探石出来たが今は期待できない。

他に昔色石が流行った頃、桐生川の沢より更紗石(赤と青)が出たが今は聞かない、桐生川の上流の沢より黒系統の石も出たが最近は耳にしなくなった。この付近一帯はいろいろな種類の石があちこちで出たが産出が少なく瞬く間に消えてしまう。

大胆に述べたが、種類としては、桜石、紫貴船、巣立ち石、青黒、が狙い目と思う、瞬間芸だが菊花石も幾つか出ている。

荒井川系のポイント

あまり詳しく書くと顰蹙をかうかも知れないが、出来る限り期待に沿いたいと思う、先ず基準となる目的物がなく地理的に説明が不可能な場合が多い、現地にての説明と違い理解出来ない部分が多いと思う。

上流の石裂神社を基準に進めよう。神社の前を橋を渡り右へ最初の橋から100m程上まで、さらに上に200m (人家より手前)程で左へ降りると石裂沢の入り口がある、これを遡ると二股に分かれるので右方面へ、岸壁までが探石地。道路に戻り、更に進むと道が二本に分かれるが右の細い道を行く、時々通行止めの看板が立つ、曲がりくねって500m程と思うが行くと行き止まりになる、そこに車を置いてまえに歩くと沢が二本ある、二本目の沢が狙い目。

神社に戻り帰り道、神社を過ぎ直ぐの橋を渡り150m程で左に沢があるこれを何処までも遡るとポイント。

道路に出て100m程で左にお墓があるその前を降りる、ここ以降300m程が良く、あとは何処まで下っても大差無い。下って大芦川に入る人もいる、時々ジャクレが出るようだ。

更に下って鹿沼〜足尾線を過ぎた所より南摩川の合流点近くまで入る人もいる、さらに下って思川となり西方町の293号線の小倉橋の前後で金梨地の良品が揚がる、ここ以降は現在では殆ど探石をしていない。

渡良瀬川石
荒井川石
蛇尾川石
小口川石
松葉川石
那珂川石
鬼怒川石(1)
鬼怒川石(2)
熊川石
思川石
大芦川石
大武川石
湯西川石
三蔵川石
 
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